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メタ分析(meta-analysis)

meta-analysis 原理・研究法・歴史

たくさんの研究をまとめて、全体としての傾向を調べる方法のこと

簡単な説明

メタ分析とは、いろんな研究の結果をひとつにまとめて、全体として「本当はどうなのか?」を調べる方法です。
例えば、「朝ごはんを食べるとテストの点が上がる」という研究が20個あるとします。中には結果がバラバラなものもあります。
そこで、全部の研究をまとめて見て、平均的にどれくらい効果があるのかを計算するのがメタ分析です。

由来

「メタ分析」は、1976年にアメリカの心理学者ジーン・グラス(Gene V. Glass)によって提唱されました。
彼は、たくさんの心理学研究の結果を統一的に評価するためにこの手法を開発しました。

心理学の研究では、同じテーマでも違う結果が出ることがあります。
例えば「ゲームは子どもの攻撃性に影響するか?」という研究が100個あっても、「影響する」と言っているものもあれば、「影響しない」と言っているものもある…
そこで登場するのが「メタ分析」です。

メタ分析は、効果量(Cohen’s d、r、オッズ比など)を用いて複数研究の効果を統合し、全体の平均効果量とその信頼区間を推定します。
また、異質性の検定(Q検定、I²統計量など)を使い、研究間のばらつきが偶然かどうかも評価します。
分析にはランダム効果モデルや固定効果モデルが用いられます。

具体的な説明

メタ分析とは、いろんな研究の結果をひとつにまとめて、全体として「本当はどうなのか?」を調べる方法です。
例えば、「朝ごはんを食べるとテストの点が上がる」という研究が20個あるとします。中には結果がバラバラなものもあります。
そこで、全部の研究をまとめて見て、平均的にどれくらい効果があるのかを計算するのがメタ分析です。

メタ分析では、過去に発表された複数の研究データ(通常は10件〜数百件)を集めて、
統計的に統合・分析します。これにより、より正確で信頼できる結論を導き出すことができます。

使われる指標の一つが「効果量(effect size)」。
これは「どれくらい強い関係があるか」を示す数値で、たとえば:

  • 0.2 → 小さい効果
  • 0.5 → 中くらいの効果
  • 0.8以上 → 大きい効果

例文

「先生、この前テレビで“青魚を食べると頭が良くなる”って言ってたけど、それって本当ですか?」
「うーん、研究によって言ってることが違うから、メタ分析で全部の研究をまとめて調べてみようね!」

疑問

Q: メタ分析と普通のレビューの違いは何ですか?

A: 普通のレビューは研究結果の要約ですが、メタ分析は数値(効果量)を使って統計的に統合する点が違います。

Q: 効果量はどのように解釈すればいいですか?

A: 一般的に、0.2は小、0.5は中、0.8は大きい効果と解釈されます(Cohen, 1988)。

Q: 異質性が高いとメタ分析は使えないのですか?

A: 異質性が高い場合は「ランダム効果モデル」を使って調整することが一般的です。

Q: メタ分析にバイアスはないのですか?

A: 出版バイアス(結果が出ない研究が公表されない)などの影響があるため、ファネルプロットなどで評価します。

Q: メタ分析を行うとき、どのように研究を選べばよいのですか?

A: メタ分析では、まず明確な基準(インクルージョン・クライテリア)を設定して、対象とする研究を選びます。たとえば「ランダム化比較試験であること」「英語で書かれた論文であること」などの条件を設けて、公平に選定する必要があります。

Q: メタ分析の結果が信頼できるかどうかはどうやって判断しますか?

A: 結果の信頼性を判断するために、信頼区間(95% CI)や異質性の指標(I²値)を確認します。信頼区間が狭く、I²が低いほど結果は安定していて信頼できると考えられます。

Q: 効果量が「0.5」だと具体的にはどのくらいの影響があるのですか?

A: 効果量0.5は「中程度の影響」とされます。たとえば、ある治療法で不安のスコアが平均より0.5標準偏差分下がるという意味です。これは、日常生活に影響を与える可能性のあるレベルです。

Q: メタ分析で逆の結果が出た研究がある場合はどうしますか?

A: 異なる方向の結果も含めて分析に加えることで、全体としてのバランスの取れた結論が出せます。さらに感度分析(sensitivity analysis)を行い、特定の研究を除いた場合の影響も確認します。

Q: メタ分析は心理学以外でも使われますか?

A: はい、メタ分析は医学、教育学、経済学、社会学など多くの分野で使われています。特に、エビデンスに基づいた医療(EBM)では、メタ分析は非常に重要な役割を果たしています。


理解度を確認する問題

次のうちメタ分析に関する記述として正しいものはどれか?

A. 研究者の主観に基づいて統合する
B. 複数の研究の効果量を統計的に統合する
C. 単一の研究を詳細に調べる
D. 効果の大小は関係ない

正解:B

関連キーワード

  • 効果量(effect size)
  • 異質性(heterogeneity)
  • ランダム効果モデル
  • 出版バイアス
  • ファネルプロット
  • Q検定
  • I²統計量

関連論文

The Strength of the Association Between Television Viewing and Aggressive Behavior: A Meta-Analysis

このメタ分析は、テレビの暴力的内容の視聴が攻撃性の増加とどれほど関連しているかを調査しました。
94の研究を統合し、効果量はr = 0.31という中程度の正の相関が見られました。

結果:
「テレビの暴力」と「子どもの攻撃性」には一貫した関連があることが示されました。

The Effects of Television Violence on Antisocial Behavior: A Meta-Analysis

・テレビでの暴力的な描写と子どもの攻撃的行動には有意な正の相関(r ≈ 0.31)がある。
・年齢が低いほど影響を受けやすい傾向。
・研究の方法(実験、観察など)による違いも分析されている。

解釈:

この結果から、「テレビの暴力表現は、子どもの攻撃性を中程度に高める可能性がある」と考えられます。
ただし因果関係があるとは断言できず、メディアリテラシーの教育が重要だという含意もあります。

Psychological Stress and the Human Immune System: A Meta-Analytic Study of 30 Years of Inquiry

心理的ストレスと免疫機能に関する293件の研究を統合。
・ストレスは長期的に免疫力を有意に低下させる傾向(平均効果量はr = -0.31)。
・慢性的なストレスは特に影響が大きい。

解釈:

ストレスが健康に与える影響を定量的に裏付けた強力な証拠。
予防医学やストレスマネジメント介入の正当性を裏付けるデータとして広く引用されています。

The efficacy of psychological, educational, and behavioral treatment: Confirmation from meta-analysis

心理・教育・行動療法に関する302の研究をメタ分析。
・平均効果量はd = 0.50(中程度の効果)。
・介入のタイプや対象年齢によって効果のばらつきあり。

解釈:

「心理的介入は本当に効果があるのか?」という問いに、統計的に「効果がある」と答えた重要な研究。
エビデンスベースの心理支援の基盤として非常に重要です。

覚え方

目立つ(メタ)研究まとめて、平均出す!

「メタ=まとめて分析」とイメージしましょう!

メタ分析の調べ方

メタ分析の結果を効率的にチェックしたい場合、信頼性が高く、心理学・医学・教育分野で使われている代表的なデータベースや検索サービスがあります。
以下に、目的別・分野別でおすすめの情報源と使い方を紹介します!

1. PsycINFO(サイキンフォ)|心理学専用データベース

  • 提供元:American Psychological Association(APA)
  • 特徴:心理学に特化した論文データベース。メタ分析とフィルターをかけて検索可能。
  • 利用方法:大学図書館や研究機関でアクセス可能。検索欄に「meta-analysis」と入れて、テーマを絞り込む。

2. PubMed|医学・心理・健康心理にも強い

  • 提供元:アメリカ国立衛生研究所(NIH)
  • 特徴:無料で使えて、メタ分析をフィルターできる。心理学と医学のクロスオーバー分野に最適。
  • URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/

検索のコツ:
検索後、左側の「Article type」で「Meta-Analysis」にチェック!

3. Google Scholar(グーグルスカラー)|最も手軽で幅広い

効率的な検索例:
meta-analysis "video games" aggression site:apa.org
👉 APAの信頼できるソースだけに絞ることも可能。

4. Cochrane Library|医療・メンタルヘルス介入のメタ分析に強い

  • 特徴:厳格な品質管理で有名なメタ分析専門リポジトリ。エビデンスレベルが非常に高い。
  • URL: https://www.cochranelibrary.com/
目的おすすめの場所ポイント公式URL
心理学全般PsycINFO専門的で精度高い検索が可能(大学・機関経由)https://www.apa.org/pubs/databases/psycinfo
医療や健康心理PubMed信頼性・網羅性が抜群、無料で使えるhttps://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/
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